ワーグナー:ローエングリン
ラインスドルフ/Boston so.
(1965, BMG)
L : コーンヤ E : アマーラ T : ドゥリー
O : ゴール KH : ハインズ Hr:マーシュ
古いステレオ録音が懐かしい。
合唱や人の位置、ファンファーレなどが左右に振られているあたり、
昔はちょっと作りすぎかなと思っていたのだけれど、
今じゃかわいいもんだ(笑)。
@ 音楽
ラインスドルフの音楽にはオペラへの愛情が感じられる。
ワーグナーは特に。
彼に詳しくはないけれど、ユダヤ系アメリカ移民の1人だそうなので、
ワーグナー演奏には複雑なものが付きまとったかもしれないな…と想像。
ただ上手いオケを振るスター指揮者ではないが、
堅実で、オケの育成面において非常に優れていたらしい。
ボストンがちゃんとオペラティックに仕上がっているのも頷ける。
合唱の引き立て方もスムーズ。
合唱指揮者の経験もあるということだから、当然かもしれない。
エルザの大聖堂への行進、雰囲気あった。
歌に合わせたドラマ作り、美しい響きにストレスのない流れ。
こういうオペラ指揮者らしい指揮をなかなか聞けなくなってしまった…。今こそ必要な人かもしれないのにな。
ライブではないので、オケの決め所はちゃんと決めている。
ファンファーレはちょっと力任せだが、これもボストン・ポップスってことでOKか(笑)。
録音の加減でアイーダ風に聞こえる。
第3幕への前奏曲はなかなかの出来。
wikiなどの情報によれば、このラインスドルフ盤はローエングリンの名乗りの後のグラール語りを復活させたものらしい。
bin Lohengrin genanntの後から合唱を挟んでローエングリンがもうワンフレーズ(Nun höret noch〜)歌う。
最近ではバレンボイム盤とか。
A 歌手
良かったのはコーンヤ、アマーラの主役2人とハインズ。
ローエングリンといえばこの人、コーンヤ。マタチッチ盤よりは声が落ち着いているかな?
ライブでは聞き流せるところも録音だと目立ってしまうので、
出だし不安定に感じる。3幕の頃には忘れるけど。
「遥かな国」は立派。歌い慣れてる。
エルザのアマーラ…昔のメトで活躍した人で、ビーチャムのボエームのムゼッタとか、ミトロのカルメンでミカエラなど、何度か聞いた事がある。可愛らしい系統のリリック・ソプラノ。
特にワーグナー専門ではないけれど、しっかりしたテクでうまく歌い回している。声も似合っている。
ハインリヒ王のハインズ…いぶし銀。合唱の中でもさりげなく低音が響いてきて、常に存在感がある。
どこにいても偉大でぴったり。歌は時々遠目に感じる。
オルトルートのゴール…叫ぶ箇所にかなり無理があり、この録音では不調のようだ。
貫禄はあるのだが、ラストはひしゃげてしまって苦しい。
完全に負け犬の遠吠えに。
テルラムントのドゥリー…上が苦しく、あまり長いフレーズを歌い続けると不安定になる。声量も時々厳しい。
でもこの程度のヘナチョコバリトンはすっかり聞きなれてしまったので、どうということもない(笑)。
ゴールに同じく、悪役2人のシーンはラインスドルフがバックで盛り上げているのが救い。
軍令使のマーシュはファンファーレにかき消され気味。
合唱は時代を考えるとよい出来。
パートが比較的クリアに聞こえる。
・・・・・・
以前聞いたマタチッチ/バイロイト59年からは6年後の録音。
コーンヤとゴールはまだ40才前後のはずだが、調子はバイロイト盤の方がいい。特にゴールはちょっと辛い。
全体的な雰囲気には好感を持てる演奏だけれど、
歌手を聞くなら別のものを選んだ方がいいかも。
(2008/9/11)

